
俳優の演出家
「クレイマー・クレイマー」「プレイス・イン・ザ・ハート」などで知られるアメリカの映画監督で脚本家のロバート・ベントンさんが、5月11日にマンハッタンの自宅で死去したことが代理人から伝えられた。没年92歳。
1932年9月29日、テキサス州ワクサハチー生まれ。テキサス州立大学卒業後、画家を目指してニューヨークのコロンビア大学で学び、「エクスワイヤー」誌のアシスタント・アート・ディレクターの職に就いた。
やがてイラストレーター兼ライターに昇進し、編集者を務めているときにライター・エディーターのデヴィッド・ニューマンと知り合う。
気が合った二人は一緒に映画の脚本を書き始め、そのうちの1つである『ボニーとクライド』がウォーレン・ベイテイに気にいられれ、67年に『俺たちに明日はない』(アーサー・ペン監督)が公開。同作品はアメリカンニューシネマを代表する傑作となり、ベントンたちはたちまち花形ライターとして脚光を浴びた。
その後もニューマンと共同で『大脱獄』(70年)『おかしなおかしな大追跡』(72年)『スーパーマン』(78年)などの脚本を執筆。72年にはニューマンと共同脚本の『夕陽の郡盗』で映画監督デビューを果たす。
79年には単独で脚本と監督を担当した、『クレイマー・クレイマー』が米アカデミー賞の作品賞・脚本賞を受賞。一躍その名声を高めた。
84年には『プレイス・イン・ザ・ハート』で2度目のアカデミー賞・脚本賞に輝き、その後も『ノーバディーズ・フール』(94年)『白いカラス』(03年)などの佳作を発表している。
ベントン監督は「俳優の演出家」としても知られ、彼の作品で8名の俳優がアカデミー賞にノミネートされ、そのうち3人がオスカーに輝いている。それでもハリウッドでは控えめな監督として知られ、「大スターをどうやって演出したのか」と質問された際には、「彼らを邪魔しないようにした」と答えたという。