サイレントノイズ・スタジアム

サッカーの歴史や人物について

米俳優 アラン・アーキンさん死去

幅広い役柄で知られた名優

映画『リトル・ミス・サンシャイン』などで知られる米俳優のアラン・アーキンさんが、米カリフォルニア州サンマルコスの自宅で死去したことが、6月29日にアメリカのメディアから伝えられた。死因は発表されていないが、晩年は心臓病を患っていたという。享年89歳。

アーキンさんは50年代後半から映画や舞台俳優として活躍。06年には米アカデミー助演男優賞を受賞している。その他にも主演賞に2度、助演賞に1度ノミネートされるなど、アクのある役柄でコメディからシリアスな作品まで幅広く演じた名優だった。

俳優のアダム・アーキンさんら3人の息子からは「私たちの父は芸術家としても人間としても、ユニークな才能の持ち主でした。また愛情深い夫、父、祖父、曽祖父でもあり、彼の死は深く惜しまれるでしょう」と共同による声明が出されている。

 
ミュージシャンから俳優へ

1934年3月生まれのニューヨーク市ブルックリン出身。ユダヤ系移民の家庭で育った。彼の父親は画家、作家、作曲家であるデヴィッド・I・アーキンで、母ベアトリスは学校教師。両親は共産主義者の疑いをかけられ、50年代の ”赤狩り運動” に巻き込まれて不遇の時代を過ごすという経験を持つ。

若い頃から俳優を志していたアーキンさんだが、最初に世に知られることになったのは、フォークグループのミュージシャンとしてだった。その後は役者として舞台に立ち、地方巡業を経て60年代初めにブロードウェイ進出。コメディ舞台劇『エンター・ラフィング』の主役で評価を得て、トニー賞とシアターワールド賞に輝く。

57年のミュージカル映画カリプソ熱波』でスクリーンデビュー。66年のコメディ映画『アメリカ上陸作戦』(ノーマン・ジュイソン監督)では、アメリカに漂着したロシア潜水艦艦長をユーモラスに演じ、アカデミー賞の主演男優賞にノミネート。ゴールデングローブ賞では主演賞を受賞する。

67年にはサスペンス劇『暗くなるまで待って』(テレンス・ヤング監督)に出演。盲目の女性(オードリー・ヘプバーン)を脅かす犯罪者役で好評を得た。68年には『愛すれど心さびしく』で2度目のアカデミー主演賞にノミネートされている。

70年に主演したブラック風刺激『キャッチ22』(マイク・ニコルズ監督)では、戦場の狂気に翻弄されるヨサリアン大尉役を好演。彼の代表作のひとつとなった。

 

リトル・ミス・サンシャイン』で初のオスカー

その後もコメディからシリアス作品まで多彩なジャンルをこなし、2006年の『リトル・ミス・サンシャイン』ではアカデミー助演男優賞を受賞。クセのある毒舌老人役で強い印象を残し、72歳で初のオスカーを手にする。

2012年には在イラン・アメリカ大使館人質事件を題材にした『アルゴ』(ベン・アフレック監督)に出演。作品はアカデミー賞の作品賞を受賞し、脱出チームの一員を演じたアーキンは同賞の助演男優賞にノミネート。2度目のオスカーは逃したものの、全米映画俳優組合賞の名誉を授かっている。

そのあと80歳を過ぎても精力的に俳優活動を続け、声優出演した22年の『ミニヨンズ・フィーバ』が遺作となった。