映画の話
たけし主演で企画された『その男、凶暴につき』は、監督を予定された深作欣二がスケジュールの関係で降板し、企画は一時中断となる。制作中止も危ぶまれたが、たけしが代わりに演出を担当することに意欲を見せ、予定通り映画は完成して監督北野武が誕生する。
たけしの新事務所移籍が決まると、後に和解をしたものの、森昌行社長とたけし軍団の確執が表面化した。オフィス北野の社長には留まったが、たけしの「一番裏切る奴は、一番よく働く奴」という発言もあり、悪者扱いされた森昌行の力は弱くなってしまうだろう。
お笑い芸人としてはとうの昔に「終わった」感のあるビートたけしだが、映画監督としての ”北野武” はまだまだ現役。『首』(2023年公開)の次回作にも意欲を燃やしているようだ。そんな彼が他人の映画について語ったのが『仁義なき映画論』という‥
62年公開の「007/ドクター・ノオ」。映画史に残る人気シリーズのきっかけとなった第1作を成功させたのは、初代ジェームズ・ボンド役に抜擢されたショーン・コネリーの魅力と、ボンド映画のスタイルをつくったテレンス・ヤング監督の功績が大きいだろう。
日本を舞台としたシリーズ5作目、ルイス・ギルバート監督『007は二度死ぬ』(1967年)は、脚本家が1作目から担当しているリチャード・メイバウムに代わりロアルド・ダールが書いている。話のスケールを広げようとしてダールを起用した結果、映画‥・
黒澤明には失われた10年という時期がある。65年の『赤ひげ』から、75年に『デルス・ウザーラ』が公開されるまでの10年間のことだ。ハリウッド進出を目論んだ黒沢だが『暴走機関車』の企画が頓挫、『トラ・トラ・トラ』も監督解任の憂き目に遭ってしまう。
黒澤明監督は10年間の雌伏を経て、ソ連から依頼された新作映画の撮影に取り掛かる。シベリアの厳しい環境で苦闘しながら『デルス・ウザーラ』製作に取り組む様子を赤裸々に伝えるのが、野上照代らの日記を元に編纂した撮影日誌『黒澤明 樹海の迷宮』である。
少年時代に両親の離婚を経験したスピルバーグは、内向的な性格ゆえに寂しさを空想で紛らわしていた。その話し相手となった想像上の生き物が『E.T.』のキャラクターの元となっている。それを脚本のメリッサ・マティスンが感受性豊かな物語に仕立てた作品。
アメリカ西部開拓時代に起きた“ジョンソ郡戦争”を題材にした作品で、当初は1100万ドルの予算で制作される予定だった。しかしこだわりの強い完全主義者チミノは撮影にあたり要求をエスカレート、最終的に制作費は4400万ドルまで膨れ上がってしまう。
『羅生門』のベネチア映画祭グランプリ獲得で、大映社長の永田雅一は外国映画賞の影響力の強さを悟る。そこで既に巨匠としての名声を持っていた溝口に、賞狙いで撮らせた作品が1953年『雨月物語』だ。この作品でカメラマンをしているのが宮川一夫である。
小津安二郎監督と組んだ唯一の作品が1959年公開の『浮草』。小津がたまたま大映で映画を撮ることになり、この顔合わせが実現することになった。主演は京マチコと中村鴈治郎で、当時26歳の若尾文子が息子役の川口浩を誘惑する女性を艶やかに演じている。
五社英雄と言えば、人気ドラマ『三匹の侍』やリアルで豪快な殺陣で知られる映画『人斬り』などの時代劇が思い浮かぶが、なんと言ってもその名を世に知らしめたのが、82年の映画『龍院花子の生涯』だ。侠客一家を描いた重厚な映像と情念を描く物語が話題を読…
〈2019年2月27日の記事〉 『犬神家の一族~エンターテインメントの革命児たち~』 BSプレミアムで、アナザーストーリーズ『犬神家の一族~エンターテインメントの革命児たち~』の放送があった。映画『犬神家の一族』は角川映画第1弾として1976に公開され大…
監督は名匠ウイリアム・ワイラー、主役の新聞記者にグレゴリー・ペック。だが『ローマの休日』と言えばやはり、この映画で世界を魅了した当時24歳のオードリー・ヘプバーンだろう。オードリーは気品と愛らしさを持ち細身で純真なイメージから“妖精” ・・
現在のアメコミ・ヒーロ映画の隆盛があるのは、78年公開『スーパーマン』の成功があったからだ。それまで子供向けと考えられ、ハリウッドでは見向きもされなかったヒーロ映画が、『スーパーマン』のヒットで一躍客を呼べるジャンルとして注目されたのである。
“ソニー・ピクチャーズ・エンターテインメント”(SPE)の副社長と共同社長を務めた野副正行氏が、どん底にあった映画会社再建の経緯を語るビジネスストーリー。ハリウッド映画制作失敗の実態と再建への道程が、経営に携わった人物の目線で描かれている。
どん底からの回復を果たしつつあったソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントだが、期待をかけた『GODZILLA』の失敗で躓いてしまう。それに危機感を覚えた当時の副社長・野副正行氏は若手幹部と話し合いを重ね、リスク管理のシステム化に取り組む。
これまでたくさんのアメコミヒーロを生み出してきたマーベル・コミックだが、映画作品での成功という意味では、ライバルのDCコミックス(スーパーマン、バットマンなど)に大きく後れを取っていた。マーベルは80年代後半から、経営が悪化した状態だった。
今回のお題は『“カメラを止めるな!”~低予算×無名が生んだ奇跡』、300万円の低予算で製作され、去年話題となって30億以上を稼ぎ出す大ヒットを記録した映画が上田慎一郎監督の『カメラを止めるな!』。番組では制作裏話を語りながら、映画作りに・・
今回は『ロッキー誕生~負け犬たちの逆転劇~』、無名役者時代、底辺の境遇にあったシルベスター・スタローンが、映画『ロッキー』でアメリカンドリームを勝ち取る様子を描いた内容。大学を中退し俳優を志したスタローンだが、オーディションに落ち続け・・・
新田次郎の小説を原作に、明治の雪中軍事訓練で210人中199人が犠牲になった歴史的山岳遭難事件を描いた映画。脚本と製作は去年の7月19日、100歳で亡くなられた名シナリオライター橋本忍。監督は “黒澤組” でチーフ助監督を務めていた森谷司郎。
65歳となった今でも、生身のアクションで主演映画を撮り続けるアジアのスーパースター、ジャッキー・チェン。時々放つ政治的発言が炎上したりするが、それだけ無邪気で純粋な映画人だ。今回の番組では、そんなジャッキーがブルース・リーの呪縛から逃れ・・
終戦を決める8月14日の特別御前会議から翌15日の玉音放送までの24時間の裏側を、セミ・ドキュメンタリー形式で描いた大作映画。東宝創立三十五周年記念作品として企画され脚本を担当したのは橋本忍。最初予定された小林正樹に替り岡本喜八が監督した。
石原裕次郎と三船敏郎の2大スターが夢の初共演を果たし、関西電力が世紀の大事業として行った、黒部峡谷の黒部第四ダム建設工事を壮大なスケールと迫力で描いた超大作映画である。製作は石原プロモーションと三船プロダクション。監督は日活の熊井啓が務めた…
第二次世界大戦中、英国海軍情報部に勤務し諜報部員として活動していた007シリーズ原作者のイアン・フレミング。退役後その経験をもとに、MI6の秘密情報部員ジェームズ・ボンドが登場するスパイ冒険小説、『カジノ・ロワイヤル』(53年)を発表する。
『影武者』の撮影で監督と主演が激突し降板劇が起きた騒動の主役、黒澤明と勝新太郎の二人を追った物語。撮影に入って間もない79年に、主演・勝新太郎の降板劇が勃発、一般紙にも騒動が大きく報じられる。だが両者の衝突は最初から避けられないものだった。
達者な芸と、可笑しさの中から哀愁をにじませる渥美清の魅力。そして山田監督の心を掴む人情話の上手さと、映画に対する誠実さ。この二人の出逢いが、奇跡の長寿シリーズを生み出したと言えるだろう。質を落とすこともなくシリーズを続けてきたのは凄いこと…
第二次大戦終了後、世界が2大勢力による東西冷戦の時代に入ると、アメリカの支配層に共産主義の脅威を声高に煽り立てる人々が現れ、その主張は次第にヒステリックなものとなっていく。やがてリベラル派の多いハリウッドが、”赤狩り”の標的となっていった。
キューブリック監督によるSF映画の金字塔、『2001年宇宙の旅』。この映画の素晴らしさは人類が月に到着する以前の時代、イマジネーションにあふれる宇宙と未来の姿を刺激的に、そして神秘的に見せてくれるという、映像のエンターテインメント性にある。
正式名称は日本アート・シアター・ギルド。主に非商業映画と呼ばれるアート系の作品を製作・配給してきた会社である。海外の芸術映画を専門的に配給する会社として始まり、映画製作にも乗り出して、60年代終盤~70年代の日本映画にムーブメントを起こした。