黒人として初めてアカデミー賞・助演男優賞に輝いた米俳優のルイス・ゴゼット・ジュニアさんが、29日の朝、カルフォルニア州サンタモニカのリハビリ施設で亡くなったことが家族から公表された。享年87歳、死因は明らかにされていない。
ルイスさんは1936年、ニューヨーク・ブルックリン生まれ。16歳のときに学校演劇『我が家の楽園』で舞台デビューを果たす。
地元のエイブラハム・リンカーン高校を卒業後、スポーツ奨学金でニューヨーク大学へ進学。193㎝の長身を活かし、バスケットボールのスター選手として活躍した。大学卒業後の58年にはNBAのニックスと契約を交わすが、短期間の在籍のあと、本格的な俳優の道に進む。
61年、シドニー・ポワチエ主演の『黒い一粒のプライド』で映画デビュー。77年にはテレビシリーズ『ルーツ』のメインキャストを務める。黒人奴隷の問題を扱った『ルーツ』は大きな評判を呼び、エミー賞を受賞。ドラマは日本でも放送され、高視聴率を稼いで話題を集めた。
82年にはヒット映画『愛と青春の旅立ち』に出演。海軍士官学校の鬼教官役を熱演し、黒人として初めてアカデミー賞の主演男優賞を受賞。黒人俳優のオスカー受賞者としては、ハッティ・マクダニエル(40年、『風と共に去りぬ』の助演女優賞)、シドニー・ポワチエ(64年、『野のユリ』の主演男優賞)に続く3人目だった。
その後も多くの作品で活躍。24年公開予定の『ブルー きみは大丈夫』が遺作となる。『愛と青春の旅立ち』で共演したリチャード・ギアからは、「真剣に仕事に取り組み、役作りに没頭していた。24時間、教官になりきっていた」と哀悼の言葉が寄せられている。