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田中邦衛さん 死去

〈2021年4月3日の記事〉

 

個性派俳優の死去

俳優の田中邦衛さんが先月24日の午前、老衰のため死去した。本人の「静かに見送って欲しい」の意向で葬儀は家族葬で行われ、逝去の報は10日後に長女の勤務するNHKを通じてなされた。

田中邦衛さんは13年暮れに事実上の引退。3年ほど前に老人ホームに入り、ここ1、2年はかなり体調を崩していたそうだ。最近は医療・介護チームのサポートを受けながら、家族との時間を過ごしていたとのこと。享年88歳。

 
北の国から』シリーズ

1932(昭和7)年11月23日生まれ、岐阜県土岐郡(現、土岐市)出身。俳優を目指して上京し、3度目の挑戦で俳優座養成所のテストに合格する。

養成所に入所(55年)してからは長い下積み時代を送り、61年『大学の若大将』で「若大将」(加山雄三)の同級生、「青大将」のコミカルなキャラクターを演じて好評を博す。

シリーズ化された『若大将』の全17作にレギュラー出演。アクの強い容貌と、どこか憎めないとぼけた味わいのキャラクターで愛された。

その後、高倉健主演の『網走番外地』シリーズや、菅原文太主演の『仁義なき戦い』シリーズにも出演。お調子者の舎弟役や、ずる賢い小物やくざ役を好演、個性派俳優として活躍した。

当たり役となったのは、81年から放送が始まったフジテレビの『北の国から』シリーズ。田中さんは、北海道富良野で子供2人を育てる父親、黒板五郎役を熱演。純(吉岡秀隆)と蛍(中嶋朋子)と3人で懸命に暮らす姿は、多くの視聴者の胸を打った。

 

遺作は『最後の忠臣蔵

連続テレビドラマを映画化した『若者たち』(67年)で毎日映画コンクール男優賞を受賞。86年の『ウホッホ探検隊』でブルーリボン賞・主演男優賞を受賞している。

無口で照れ屋な性格で、バラエティー番組にはほとんど出演しなかったが、そのボソボソと語る様子は小堺一機など多くの芸人にモノマネされ、お茶の間でもお馴染みとなった。

10年公開の映画『最後の忠臣蔵』が遺作となり、最後に公の場に姿を見せたのは12年8月6日。盟友だった故・地井武男さんのお別れの会だった。