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仏俳優、ミシェル・ピコリさん死去

〈2020年5月19日 の記事〉

 

フランスの個性派俳優

18日の報道で、フランス往年の名優ミシェル・ピコリさんが、5月12日に脳卒中で亡くなっていたことが伝えられた。享年94歳。元妻は歌手のジュリエッタグレコ。独特な見た目で人間くさい男を演じ、その個性が長らくフランスの映画界で重宝された俳優だった。

ピコリさんは1925年12月27日、パリ生まれ。父親はヴァイオリスト、母親はピアニストで女優という芸術一家に育った。ピコリさん自身も早くから演劇を志し、高校時代にはもう自分で劇団を組織していたそうだ。第二次大戦後はパリの大学で演劇を専攻、演技を学ぶ。その後テアトロ・バビロンに所属して舞台に立つと、48年には『夜明け』で映画デビューを飾った。

そして63年、ジャン・リュック・ゴダール監督の『軽蔑』に出演。ディーン・マーティンを気取って帽子を被ったまま風呂に入り、女優の妻(ブリジット・バルドー)に軽蔑される脚本家の夫を演じて注目されている。

巨匠たちとの仕事

生涯で150本以上の映画に出演し、ジャン・ルノワールルネ・クレール、ジャン=ピエール・メルビル、ルネ・クレマンアラン・レネジャック・ドゥミクロード・シャブロルルイ・マルら、フランス映画界の名監督たちと数多くの仕事をしている。

前衛リアリズム映画の巨匠で無神論者、ルイス・ブニュエル監督との関わりも深く、『昼顔』『ブルジョワジーの密かな愉しみ』など6作品に出演した。80年にはマルコ・ベロッキオ監督の『虚空への跳躍』でカンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞、82年の『Une étrange affaire(奇妙な事件)』でもベルリン国際映画祭男優賞を受賞している。

最近では11年の『ローマ法王の休日』で、コンクラーベで選ばれた新法王役で主演を果たした。生前は反体制の言辞が多く、ジャーナリスト相手に堂々とした論陣を張る雄弁家でもあったようだ。